民法1-8 意思表示 2011年問27 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

無効または取り消しに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、妥当でないものはいくつあるか。

1、BがAに騙されてAから金銭を借り入れ、CがBの保証人となった場合、CはAの詐欺を理由としてAB間の金銭消費貸借契約を取り消すことができる。
2、BがAに騙されてAから絵画を購入し、これをCに転売した場合、その後になって、BがAの詐欺に気づいたとしても、当該絵画を第三者に譲渡してしまった以上、もはや、BはAとの売買契約を取り消すことはできない。
3、BがAから絵画を購入するに際して、Bに要素の錯誤が認められる場合、無効は誰からでも主張することができるから、Bから当該絵画を譲り受けたCも当然に、AB間の売買契約につき、錯誤無効を主張することができる。
4、BがAに強迫されて、絵画を購入した場合、Bが追認をすることができる時から、取消権を5年間行使しないときは、追認があったものと推定される。
5、未成年者であるBが親権者の同意を得ずに、Aから金銭を借り入れたが、後に当該金銭消費貸借契約が取り消された場合、BはAに対し、受領した金銭につき、現存利益のみ返還すれば足りる。

胡桃「これも条文レベルの簡単な問題だわ」
建太郎「おう」

胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「取消権者の範囲の問題だな」

(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

建太郎「騙された場合だから、2項にある通り、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。とされている。保証人はいずれにも該当しないから、取り消しはできないな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「法定追認に該当するかどうかの問題だよな」

(法定追認)
第百二十五条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行

建太郎「設問の場合は、Cに転売しているわけだから、『五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡』に該当する。ただ、法定追認は、追認をすることができる時以後に、生じた場合に適用される」

(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
3 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

建太郎「追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。とあるから、詐欺の場合は、騙されたと気づいてから、転売したのでなければ、法定追認には当たらないと」
胡桃「そうね。3はどうかしら?」
建太郎「無効は一般的に誰でも主張できるけど、錯誤無効に関しては、表意者自身に限られるとされているよな」

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「追認したものと推定されるわけじゃなくて、取消権が時効によって消滅するということだよな」

(取消権の期間の制限)
第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「条文そのままだな」

(取消しの効果)
第百二十一条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「1234の四つが間違いだな」

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