宅建士試験過去問 権利関係 借家権 2-54 平成25年 / 宅建はライトノベル小説で勉強しよう

Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法38条1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは、甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。

1、BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんに係らず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。
2、Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために、当該賃貸借契約が終了した場合でも、BがAの承諾を得て、甲建物をCに転貸していた時は、AはCに対して、甲建物の明渡しを請求することができない。
3、AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て、甲建物をCに転貸している時は、BのCに対する解約の申し入れについて、正当事由がない限り、AはCに対して、甲建物の明渡しを請求することができない。
4、AB間の賃貸借契約に賃料の改定について、特約がある場合には、経済事情の変動によって、BのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して、借地借家法32条1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。

胡桃「これは基本的な問題だわね」
建太郎「ああ。俺でも、正解がどれかすぐにわかったよ」
胡桃「こういう簡単な問題は誰でも正答できるから、ミスしたら痛いわよ」

胡桃「先ず、1はどうかしら?」
建太郎「無断転貸があればいかなる事情があっても解除できるわけではないよな。判例によれば、無断転貸でも、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある時は、賃貸借契約を解除することができないとされているね」
胡桃「そうね。民法の判例だけど、借地借家法の定期建物賃貸借契約でも適用されるわ」

民法
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条  賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2  賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「賃貸借が期間の満了により終了する場合は、転借人にもその旨の通知をしなければならないんだよな」

借地借家法
(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)
第三十四条  建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2  建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から六月を経過することによって終了する。

建太郎「でも、債務不履行を理由に賃貸借契約を解除する場合は、賃貸借の終了と同時に転貸借も終了するんだよな。つまり、賃貸人は、何らの通知もせずに、転借人に対して建物の明渡し請求ができるということだ」
胡桃「その通りよ。判例だから押さえておいてね。3はどうかしら?」
建太郎「定期建物賃貸借契約の場合は、期間満了によって解約する際に正当事由は必要ないんだよな」

(定期建物賃貸借)
第三十八条  期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2  前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3  建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4  第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6  前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7  第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。

胡桃「そうね。解約する際に正当事由が必要なことと、期間の満了の一年前から六月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければならないことを混同しないようにしてね」
建太郎「OK。通知期間は必要だけど、正当事由は必要ないということだな」
胡桃「そうよ。4はどうかしら?」
建太郎「第三十八条7項にある通りだね。第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。第三十二条というのは……」

(借賃増減請求権)
第三十二条  建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2  建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3  建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

建太郎「定期建物賃貸借契約では、賃料増額請求をしない特約はもちろんのこと、減額請求もできないとする特約をすることもできるんだよな」
胡桃「そうね。条文を念入りに読み込んでいれば、正解が分かるわね。というわけで答えは?」
建太郎「4だね」

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