民法1-14 時効 2007年問28 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

時効制度の存在意義については、次のような考え方の対立がある。

A、時効とは、取得時効が成立した場合は、無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合は、真の権利者の権利を消滅させる制度である。
B、時効とは、真に権利を有する者又は真に義務を負わない者が、長期間の経過によって、そのことを証明できないことにより、不利益を被ることのないように、救済するための制度である。

時効の援用に関する次の説明のうち、最も妥当なものはどれか。

1、時効の援用は、時効の効果が道徳に反する面があるため、それによる利益を受けるかどうかを当事者の良心に委ねたものであるとの説明は、A説と矛盾する。
2、時効の援用は、民事訴訟法上の弁論主義から求められるものであるとの説明はB説と矛盾する。
3、時効の援用は、初めに遡って権利の得喪の効果を生じさせるものであるとの説明は、A説と矛盾する。
4、時効の援用は、権利関係を証明するため、法定証拠を提出する行為であるとの説明は、B説と矛盾しない。
5、時効の援用は、法定の停止条件であるとの説明は、A説と矛盾する。

建太郎「むむっ。これは、民法を題材にした国語の問題か」
胡桃「そうよ。時効制度についての学説を知っていれば簡単に解けるわ」
建太郎「えっ、簡単か?」

胡桃「まず、条文を確認するわよ」

(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

胡桃「このように定められているわけだけど、時効制度はそもそもどうして存在するのかについては二つの学説があったわね」
建太郎「実体法上の権利の得喪を生じさせる制度だとする説があるよな。売買契約によって所有権を取得するのと同じで、時効によって権利を取得したり、失ったりすると」
胡桃「Aの説と同じ考えね。実体法説というわ。それに対して、B説はどうかしら?」
建太郎「つまり、裁判になったときに、時効が完成したという証拠を提出するための制度に過ぎないと考えるんだよな」
胡桃「訴訟法説という考え方ね。この問題は、選択肢の考えが、どちらの立場に立ったものかを考えるだけの問題よ」
建太郎「ええっと……、1は、実体法説の立場からの説明だよな」
胡桃「そうよ。時効によって、権利を取得できちゃうなんて、道徳に反する面があるわね。2はどうかしら?」
建太郎「訴訟法説そのままだな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「権利の得喪を生じさせるわけだから、実体法説だな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「訴訟法説そのままだな」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「つまり、時効によって権利を取得しているけど、援用するまでは効力が停止していると考えるわけだよな。実体法説だな」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「4だな」
胡桃「そうよ。簡単でしょ」
建太郎「うーん。胡桃と一緒に解けば簡単なんだよな」

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