民法1-12 代理 2003年問27 / 行政書士試験の勉強は、開業の準備をしてから始めよう

Aが以下のような状況で契約した場合、大審院ないし最高裁の見解に立つと、本人に契約上の効果が帰属することになるものはどれか。

1、本人所有の甲不動産を処分するため、代理権を与えられているAが、Bに甲不動産を譲渡する際に、Bから受け取る代金は専ら、自己の借金の返済に使うという意図をもって代理人と契約したが、Bは取引上相当な注意をしても、Aのそのような意図を知ることができなかった場合。
2、請負人とAとの間で下請け契約が締結されていたので、Aは、工事材料の買い入れに当たって、請負人を本人とし、自己がその代理人であるとしてBと契約した場合。
3、代理権限の与えられていないAが、本人の代理人である旨を記載した白紙委任状を偽造して提示し、代理人と称したので、Bがそれを信頼して、契約をした場合。
4、本人の実印を預かっていたに過ぎないAが、友人がBから借金をするのに、本人の代理人と称し、預かっていた実印を用いて、Bと保証契約をした場合。
5、本人から投資の勧誘を行うものとして雇われていたにすぎないAが、本人の代理人としてBと投資契約をし、投資金を持ち逃げした場合。

胡桃「これも判例の知識を問うだけの問題だわ」
建太郎「うん。簡単だな」

胡桃「まず、この問題は何を問う問題か分かるわね?」
建太郎「代理権授与の表示による表見代理が成立する場合における基本代理権の問題だよな」

(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

建太郎「つまり、この条文によって表見代理が成立するためには、基本代理権がなければならないわけだけど、基本代理権と言えるのはどれかということだ」
胡桃「そうね。いろいろな判例があるから、それを覚えれば、いいだけの問題だわ。答えはどれか分かるわね?」
建太郎「1だな」
胡桃「1はどうして本人に効果が帰属するのかしら?」
建太郎「代理人が権限を濫用した場合は、第九十三条但書が類推適用されるんだよな」

(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

建太郎「これによって、相手方が悪意有過失だと、本人はその行為につき、責任を負わなくていいと。設問の場合は、相手方は、善意無過失だから、本人に対して契約上の効果が帰属することになる」
胡桃「その通りよ。2はどうかしら?」
建太郎「下請け契約は代理権とは何の関係もないから、基本代理権とは言えないよな」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「白紙委任状を交付した場合は、基本代理権を授与したことになるけど、偽造の場合は、基本代理権とは言えないよな」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「実印を預けただけでは、基本代理権を授与したとは言えない」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「投資の勧誘をするだけならば、事実行為に過ぎないから、基本代理権とは言えない」
胡桃「というわけで答えは?」
建太郎「1だな」

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